EASA/ISAF X-02 "Mobius-1"

X-02

 エルジア軍の攻勢によりユージア本土からノースポイントに撤退・戦力の縮小を余儀なくされていたISAFでは、空軍および海軍航空部隊に於いても稼動機数の激減とパイロットの不足が進んでおり、結果として各飛行隊の所属機数は極端に少なかった。
 これが最も端的に表面化していたのが第118戦術戦闘飛行隊・通称メビウス中隊で、所属機数はたったの1機(予備機なし)、2004年の段階でパイロット/RIO各1名のみという殆ど消滅寸前、軍団変成の観点からも何かの冗談としか思えない中隊編成が存在していたのである。

 しかし同隊(コールサインからもっぱら「メビウス1」と呼称された)はその優れた戦績からISAF司令部の注目するところとなり、2004年12月の段階で1機の多目的戦闘機F−14とこれに専属する空中管制機E−2Cが配備され、戦略上重要と認められた目標の攻略に充てられていた。

 しかし既に初飛行から30年以上経っている旧式機F−14ではエルジア軍の擁する第4世代戦闘機群の後塵を拝することも多く、主として用兵側から機種転換の要望が高くなった。中隊は原則として空母艦上にて運用されるため(空母自体の機動力は運用の柔軟性を保つためにも必須であった)、後継機としてF/A‐18E(F)、艦上型ラファールM及びSu‐33が候補とされたが、これらの機体は特に優れたステルス性を有している訳ではなく超音速巡航能力も無いため、エルジア側戦闘機と性能上拮抗するとは言っても、特にレンジ/ペイロードに於いて優れるF−14と代替するのは躊躇われるものがあった。

 難航した機種選定を解決したのは皮肉なことにエルジア軍より鹵獲した試作要撃戦闘機・X−02であり、同機体の持つ超音速巡航能力・ステルス性能および以前より存在が露呈していた長距離高速AAM・ISAFコードネーム“ダークファイア”によって、メビウス中隊の戦闘能力を飛躍的に増大させることが企図された。

X-02

 鹵獲されていたX−02はEASA(エルジア航空宇宙局)が製造した増加試作機もしくは先行生産機と思われ、エアフレームやエンジン及び各種の補機に関しては充分実戦に使用できる完成度であったものの、操縦系統=FBWに付いてはそのソースコードも含めて信頼できるものではなく、肝心のレーダー火器管制装置は開発が間に合わなかったのか未装備、航続性能に関しても後に拡充を図るつもりだったのか用兵側であるエルジア海軍はそれで満足したのかF−14の7割にも満たず、すべて何らかの改修・改良を必要としている。

 操縦系統はハード/ソフトともに交換が行われ、元のアナログ2系統のFBWであったものが、DECSによって推力制御と統合されたデジタル3系統のそれに変更されている。レーダー火器管制装置はISAF空軍がオーシアより供給を受けているF/A‐22の予備部品、AN/APG-77が流用されており、中央制御プロセッサやAWACS等とのデータリンク用機材もF/A‐22用である。
 不足している航続性能については、各種機材の小型軽量化によって余剰したスペースに燃料タンクを増設することである程度の解決が図られ、さらに空中給油プローブを追加して対処した(もともと背部には受油用リセプタクルが設置されていたが、艦上給油機ではこれを使用できない)。

 機体と同時に鹵獲された、GPS/アクティブレーダーホーミング併用の長距離高速ミサイル「ダークファイア」は胴体中央部の兵器槽に計4基搭載可能で、ISAFではこれに加えて兵装搭載用のトラピーズを改良、ダークファイア×4に換えてAIM‐120cを6発もしくは対地攻撃用にGPS誘導爆弾(JDAM)を搭載できるようにしている。エンジンポッド下には目視戦闘用のIRホーミングミサイルをそれぞれ1基収容できるランチャーが設置されていたが、これもISAFの採用するAIM‐9を搭載できるよう改修されている。

 改修されたX−02は2005年8月には実戦配備され、メビウス1最終使用機としてエルジア首都ファーバンティ包囲戦、要塞メガリス攻略などに参加している。

X-02

 ↑特徴的な平面形を見せるX−02。収容/展開が可能な前進角の外翼部分は本来ステルス性能・高速巡航能力を充足させつつ、空母上にて運用出来得る離着陸性能を付与するために取り入れられたものだが、格闘戦に於いても本機体に優れた運動能力をもたらしている。

 機体全面のドットモザイクパターン迷彩はISAFによる改修後に適用されたものだが、どのような効果を狙っているのかは不明。

 別頁のガレージキット・原型監修用の完成品をさらに改修して作ったものです。
 AC04のメビウス1仕様機は以前にもワンオフモデルで作りましたが、いかんせん似てなかったのと、経時変形と表面劣化でさすがに見苦しくなってきたので作り直した次第。

 ドットモザイクパターンの塗装は濃いグレーを吹いた後に1〜6mm四方のマスキングテープを貼って明るいグレーを吹いたもの。ISAF/メビウス1のマーキングは転写シールを使用しました。デカールよりも厚みがあるので、クリア塗装→1500〜2000番のペーパーでやすって再びクリア塗装、という工程を行っています。

X-02
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 いつもだったら仕上げに薄めたフラットベースを吹いて艶消しとするところですが、展示品ということを考えてグロス仕上げのままです。

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