ADFX-02 "Morgan"

ADFX-02
1995年12月31日、オーシア連邦・ウスティオ共和国他から成る連合軍はベルカ中央・ムント渓谷内に位置するアヴァロンダムのミサイル発射施設に対し戦闘攻撃機による強襲を行うポイントブランク作戦を実行した。作戦は成功とも思えたがその時、突如として"妖精"が現れる。ゾイサイト戦術レーザー/ハイパーシン炸裂弾頭ミサイルとモルガナイトECMポッド及び各種対空兵装にて完全武装の多用途戦術戦闘機・ADFX-02 "モルガン"。

 ベルカ空軍の次期主力戦闘機として南ベルカ国営兵器産業廠(S. B. S. W.)が試作した大型制空/多用途戦闘機ADFX-01をクーデター組織「国境無き世界」が運用したものが本機体「Morgan」である(ADFX-02はクーデター軍による識別コードで、機体それ自体は-01と同一である)。

 B M D(弾道ミサイル防衛)レーザーシステムに端を発する光学兵器開発の分野において、'95年当時のベルカは他の数歩先を行く状況にあり、高出力のレーザー発振装置=レーザー砲を対空戦闘用武装として制空戦闘機に搭載するという流れも当然のものがあった(これには誘導兵器を使用したBVR戦闘よりも、WVRでの格闘戦――ドッグファイトを極端に偏重していたベルカ空軍の体質も絡んでいる)。
 本機体および後のノースオーシア・グランダーI.G.製ADF-01に於いても、主力兵装は空中発射レーザーシステム( A B L )であり、大電力を消費する重いレーザーシステムを搭載するため、試作機ADFX-01では全長24m×全幅16mの大型の機体に大口径のターボファンジェットエンジン/WWX-GD-401を2基装備し、10t近いペイロードを持つ。格闘戦能力を重視するためか、大迎え角時の抵抗減少に優れる前進翼を採用しピッチ方向のコントロールにカナードを持つ平面形、双垂直尾翼など後のADFシリーズ同様の概形だが、コフィンと呼ばれる次世代型コクピットを有し、レーザー砲架などの兵装を機内に収容する"FALKEN"とはその基本構造からして異なる機体であり、各種武装の機上に於ける動作確認・試験運用などを目的としたテストベッドとしての性格が強い。しかし同時に、特に戦場での兵装試用を意識した本機体では、レーダー火器管制装置を始めとする各種の実戦用装備が完備され、ベルカ空軍にて使われているほとんどの制空戦闘機用武装の運用能力を有している点に於いても異質なテスト機体と言える。

ADFX-02
高高度を往くADFX-02 "モルガン"。全長23m以上、空虚重量でも19tを超え最大離陸重量では30t近い巨大な戦闘機である。搭載する2基のWWX-GD-401もまた巨大で、全長は7.6m/入口部直径1.4m、リヒート推力で14t以上という"怪物級"のエンジン。これは以降も大型戦闘機用の高出力ターボファンとして発達し、後のADF-01ではアップグレードされたWWX-GD-425を積む。
ADFX-02

 胴体後上部にアダプターを介して設置されているのがABLで、本機体では戦術レーザーシステム(T L S) "ゾイサイト"と呼称される。以降の空中発射レーザー装置と同様の高出力化学レーザーが搭載されており、レーダーFCSと連動して機体前上方象限に追尾・照射が可能だが、ADFX-01に於いてはあくまでも視程内戦闘に用いる短距離用武装であるため、後にADF-01「FALKEN」に搭載された戦略レーザーシステム(S L S)が有する長射程のための波長変更機能は持っていない。
 "ゾイサイト"は独立したポッド型式で、機体とは分離した一体型のレーザー発振装置となっていることでメンテナンスや小改修を容易とする試験的装備という理由に因るが、これは作動用の動力源も含めた自律系統を持つことからペイロードさえ許せばあらゆる機体に流用可能ということでもあり、後に数種類の戦闘/攻撃機での採用事例もある。

ADFX-02
ADFX-02

 本機体にて試験運用された兵器としては他に多用途炸裂弾頭ミサイル "ハイパーシン"および戦術電子戦闘用ポッド "モルガナイト"があり、前者はサーモバリック/実体弾兵器を組み合わせた特殊弾頭を持ち気化燃料と同時に小型散弾を瞬間的に放出・点火することで危害範囲内の航空機やソフトターゲットを破壊することが可能な阻止攻撃用兵装。モルガナイトはADFX-01持ち前の大電力を利用する高機能の妨害/電子戦闘用ポッドで、短距離であれば敵機の電子装置を破壊・無力化する程の出力を持つと言われる。

 主翼下には片側2ヶ所のハードポイントを持ち、前述のようにベルカ空軍が運用した空対空ミサイルは種類を選ばず搭載することが出来たとされる。固定武装としては左LEX部に30o機関砲1門を装備する。

ADFX-02
ADFX-02

 1995年のベルカ戦争当時、本機体は基本的な飛行試験を終了しており各種装備/兵装のテストを行っている段階で、正式採用には程遠くまたその予定も立っていないというのが実態であったと言われる。試作機/テスト機を含めた総生産機数は不明であるが、同年の6月時点では少なくとも完全に機能するテスト機=2機のADFXが完成していたことには間違いが無い。
 前述のようにそのうちの1機はクーデター組織「国境無き世界」が強奪、同年12月にはベルカ公国北部・アヴァロンダム要塞攻防戦にてその姿が目撃されている。所詮テスト機である当時のADFX-01をそのまま使用したのか、それとも実戦運用にあたり現地での改修が行われたのか/であればその内容と程度は?という疑問は当然あるものの、機体・ADFX-02自体がその後の戦闘で撃墜され残骸もいずこかへ持ち去られているため、詳細については判っていない。
 また一方の1機は連合軍(実質的にオーシア連邦軍)が回収し後年のADF-01 "ファルケン"の祖となったが、開発元のノースオーシア・グランダーI.G.は実質的に南ベルカ国営造兵廠と同一の組織であるとも言えるため、ADFXはその当初からウェポンシステムとしての最終形であるADFが構想されていた可能性は高い。

ADFX-02
南ベルカ国営兵器産業廠におけるテスト飛行中と思われる2機のADFX-01。背部に"ゾイサイト"戦術レーザーシステムを搭載、主翼下に"ハイパーシン"炸裂弾頭ミサイルを懸吊する。マーキングの類は一切見られない。後にあらゆる戦場で広範に使用された特殊な航空兵装にはベルカに端を発するものが多く、その殆んどは本機体ADFXと同時にテストされた。
写真の2機はそれぞれクーデター組織に強奪/連合軍に接収という経緯を辿る。
ADFX-02

ディメンション:全長23.9m  全幅15.7m  全高4.6m  空虚重量 19.6t  最大離陸重量 28.6t
エンジン:WWX-GD-401(最大推力108.3kN(ドライ)/160.6kN(リヒート))x2
最大速度:M2.0(高度10,200m)
実用上昇限度:19,100m  初期上昇率9,700m/min
航続距離:650nm  最大フェリーレンジ:1,020nm

ADFX-02
ADFX-02

 「ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR」に登場する敵機ADFX−02 Morganです。別頁・FALKENのガレージキットを改造して製作。

 主翼と胴体中央部はFALKENとほぼ同一形状ですが(翼端は3mm弱ほど延長、何となく)、それ以外の箇所はわりと違うため新造。機首周りには同じく余っていたX−02のパーツを使用しました。ADF−01よりやや古めの機体という設定なので、オーバースケールではありますが表面のリベットを目立たせてみました。

ADFX-02
ADFX-02
ADFX-02

 機外兵装は戦術レーザー/多用途炸裂弾頭ミサイル/空対空ミサイルを全種搭載することにし、それぞれプラ材・ジャンクパーツなどから成形。

 塗装はやはりラリー“Pixy”フォルク機で。デカールはウェーブ製のXデカール(ややオーバースケールだけど)から適当なものを貼付。

ADFX-02
ADFX-02