攻撃ヘリコプター・ヒューズエアクラフト AH-88 "ヘルハウンド"
撮影者などはその一切が不明であるが、2002年2月に勃発した一連の決起事件当時の写真としてはよく知られた一枚である。東京湾上空を侵攻する3機の陸上自衛隊最新鋭攻撃ヘリコプター、と見せかけて実際には3機ともに陸自機を偽装する元アメリカ陸軍配備機であるのだが、これらの機体が如何なる経緯と手段によって持ち込まれたものであるのか、現在に至っても明かされていない。
「ゴングゼロより各機。時間だ。状況を開始せよ」
2月26日早朝、18号埋立地を飛び立った3機の奇怪な鳥は最大出力2,020shp×2基のT800-GE-801が発する咆哮と主ローターの風切り音を蹴立て首都に突進する。
対戦車ミサイル/ロケット弾とガトリング砲で完全武装の攻撃ヘリコプター、AH-88 "ヘルハウンド"。
2002年2月、首都を恐怖と混乱に叩き込んだ一連の事件において都内に散在するあらゆる要衝 交通/通信ほか首都機能を担う広範かつ重要なハードウェアを徹底的に破壊したのはたった3機の攻撃ヘリコプターである。ヒューズエアクラフト製AH-88 "ヘルハウンド"は当時も配備から数年しか経っていない最新鋭で、機甲軍を相手取る「空飛ぶ戦車」とも言われる攻撃ヘリコプターが無抵抗の都市に放たれれば一体何が起こるのか、という事実を現在に至っても突き付けている。
離床するヘルハウンド。翼下内舷にはBGM-71 TOW2対戦車ミサイル4発を収めたランチャーを各1基、外舷に2.75インチロケット弾を19発装填するランチャー各1基を懸吊している。胴体下の長大な20o/4砲身ガトリング砲が目を引くが、これは高初速のための長銃身を持つため。機首下に装備されガンナーの眼と同調するPNVS/TADSターレットと連動して照準する。
コンバット・プルーブンとしてはおよそ最悪の事例ではあるのだが、これを可能にした要素の一つとして極めて汎用性の高い可搬機能とわずかの支援基材で作戦を可能とする自律戦闘機能があったことは否めない(パッケージ化されたコンテナ3個を持ち込むだけで、首都を実質的に破壊できたのだから)。もともとこれはAH-88の採用国のひとつである英国陸軍航空隊(じっさいにはライセンス生産によるAH-Mk.1を採用)がコマンドー空母への搭載・運用を鑑みて要求した仕様に基づいており、本機体は主翼と主ローターを畳んだ形態で専用のコンテナに収容・このコンテナ内部に飛行と作戦に要する諸機能を統合するというウェポンシステムとなっている点で他の軍用ヘリコプターとは一線を隔していると言える。
本項のヘルハウンドは段階的アップデートが施された現在ではやや旧式のAH-88A2であるが、外見上ではメインローターマスト頂部のマルチバンド・レーダードームを持たず、また現行機とは異なるテールブーム周りのレイアウトなどの相違点がある。
攻撃ヘリコプターは現在、飛行性能の向上や搭載武装の強化ではなく、他兵種との連携/データリンクを主とする統合的運用を可能とする諸装備に主眼が移っており、AH-88でも各種のセンサー統合を主とした段階的アップデートが行われている。
しかしながら、いずれにせよ従来のようなスカウトヘリコプターと連携した対機甲戦闘という戦闘教義はさほど現実的では無いと見做されつつあり、また台頭する無人兵器の出現も本機体含む攻撃ヘリコプターの将来性に影を落としていると言えるが、こと本邦に於いては先述の事件が「攻撃ヘリコプター不要論」に及ぼした影響は無視できない。
最大離陸重量で10t近い重量級の機体であるため、主ローターも直径16.5mと大型。
スタブウィングは高速時に揚力を発生する空力翼でもあるが、400q/h以上の(ヘリコプターとしては上限に近い)速度性能を得るための設計で、フラップを引き上げた形態では固定翼機と見紛うようなシルエットを形成する。
ディメンション:全長 15.76m 全幅 8.82m 全高 4.15m
空虚重量5.74.t 戦闘重量9.86t
エンジン:ゼネラルエレクトリック T800-GE-801(出力2,020shp)×2
固定武装:20mm/4砲身ガトリング砲 x1
搭載武装:BGM-71 TOW2(最大16発)/AGM-114 ヘルファイア(最大16発)いずれか、
ロケット弾ランチャーM261(2.75インチロケット弾19発を装填、x最大4基)、
対レーダーミサイル・サイドアーム、AAMスティンガーほか
パトレイバー・シリーズに登場する攻撃ヘリコプター・ヘルハウンドです。
別頁の英国軍仕様ではなく、こちらは作中に登場したAH-88…と見せかけてあちこちアレンジしてあります。同様に1/100スケールでフルスクラッチビルド・ワンフェス2023冬におけるイベント「第一回幕張国際レイバーショウ」用に作ったものです。
既存の立体物(コトブキヤ製のプラモデル)だと比較的ボリュームのある概形なのですが、じっさいあんまり攻撃ヘリコプターらしくは無いので(攻撃ヘリと言うと一切の贅肉 余剰容積を削いだ痩身で角張った機体という印象がある)、そのようにアレンジ。不思議なバランスの着陸脚3点姿勢(重心と空力中心などを勘案すると不思議な気持ちになる)は、ちょっと考えたうえで主脚+尾輪+翼端アウトリガー脚の4点姿勢としました(よくあるアレンジです)。
あと主翼の折り畳み機構も強度的にどうなのだろうか?と思ったので、スタブウィングをピボットとして後ろに畳む形態としてあります(主翼とスタブウィングで複葉を成す)。折り畳み時も自立するのがポイント。
メインローターの折り畳み状態は差し換え式。別項のAH-Mk.1と同様、展開時のローター基部にはボールベアリングを仕込んであります。翼下兵装も同様の工作で、こちらもTOWランチャーおよびM261はすべて装弾/弾体の除去が可能です。