2025-12-28
FRX-00/FFR-41MR メイヴ・雪風(その2)
OVA「戦闘妖精雪風」の戦術戦闘電子偵察機FRX-00/FFR-41MR メイヴ・雪風です。
1年前の状態と変わらないではないか、という話もあるのですが、原型パーツをシリコンゴム型にてレジンキャスト複製したパーツを組みつつさらにディテールアップ、2機目をFRX-00/B-3の原型機であるFRX-99として組んで現在写真のような状態。
いちおう繰り返すと、設定の形状そのものではなく、むしろ初期稿を参考にしつつ自分なりに高速戦術偵察機としてアレンジを行なって造形したものです。1/100スケールで、全長180㎜ほど。
↑レジンパーツを組んでいくのですが、自家用キットなので組み立てに際してパーツ自体の加工も必要……などと書いても、僕しか組まないのでそれはどうでもよいことです。所どころ気泡が凄かったりそもそも形状が作られていなかったり、あるいはディテールが埋まっていたり……。
↑↓ライフカプセル(コクピット)はインテリア・前後席とそれぞれのコンソール、基部となるフレームなど含めて1パーツとして複製(前後席はシートベルトも一体で成形してあるので、パイロットを乗せる場合は削り落とす方式)。
シリコン型は速攻でいかれますが、そもそも少数製造なので問題はないのです。
↑可動軸は1㎜径ステンレス線、軸受けにはバンダイ製プラモデルのKPSランナー(摩耗しづらい)を所定の径に削って埋め込んであります。ただしこのKPS・強化プラスチックという意味らしいですが、これはKPS同士で可動部を組んだ場合に摩耗しづらいのであって、KPS/ステンレス軸の組み合わせでは然程の効果はありません(場合によっては軸受け側の定期的な交換が必要になることもある)。
↑主翼のハードポイントも旋回軸を仕込んであります(下記)。
懸吊ミサイルには0.5㎜径ステンレス線を仕込んで、ランチャーに挿し込む方式。これはいつもの工作と同様↓。
で、なんでハードポイントに旋回軸を設けているのかというと、前進翼→後退翼に裏返す際にそのままではウェポンが当然後ろに向いてしまうからで(Operation-4の地球行、日本海軍の空母戦闘群に向けて急加速するシーンでは、じっさいに懸吊AAM-Ⅲは後ろ向きのままで、その後「どうやって前方に投射したのか?」ってのは、今に至るまで謎のままだったりする)。
重箱の隅をつつくような見苦しい真似はやめろ。
主翼をこの向きで裏返しながら、じっさいには同時に急激な機首上げ(主翼は進行方向に正対したまま)→機首方位が180°後ろに向いた時点で後退角になった主翼をロックし、残り半回転するクルビット機動を行なって前進翼→後退翼となる。写真ではハードポイントも同時に旋回しているが、機速が速い場合にはクルビット後半の、充分に機速が減じた時点でウェポンの向きを変える。
後退角の高速形態から前進翼に戻す場合は、逆に(つまりOVA版と同じく)機首を急速に落とす前転の機動を行なう。機動の前半では主翼は進行方向に正対したままというのも同じ。
いずれの機動でも機速は急激に低下するはずだけど、それでもいきなり風圧に対して主翼だけ立てるようなことをすれば、主翼がもげてしまう。
……などということを考えながら造形しています。
↑主翼の旋回方向を公式のそれと違えてあるのは、搭載するウェポンと主翼が干渉してしまうためで、写真では内翼側に懸吊した大型のミサイルAAM-Ⅶ尾部のフィンを逃がすため、主翼前縁付け根に切り欠きが設けられているのが判ると思う。
……まるで最初っから全て考えて造形した、みたいな書き方だけども、ある程度は現物合わせ的ではある。
↑戦術戦闘偵察機FRX-00、機首レドーム内の全方位パルスドップラーレーダーを最大出力照射しつつ超高空を高速で航過する機動の際は、たぶんこんな形態。ライフカプセルは後退位置にあってレーダー波(のサイドローブ)から乗員を保護し、主翼は後退翼に返して上反位置で垂直安定板として機能させる(レーダーの邪魔にならないように、という意味もある)。
雪風は偵察機であり、特段の理由が無ければ交戦は避け大推力/高速を生かして逃げ帰る。そのように原作には書かれているし、この形態からライフカプセルを機首内部にロックし(許容荷重倍数はその状態で9G+となる)主翼は前進角に返して、さらにはある程度の運動エネルギーを捨て……というのは、基本的には何らかの手違いがあった場合のみ。
……などということは、OVA中ではまったく描かれていないのだけれども(なんなら、あんまり「偵察」してなかったなぁ……)。
空中給油リセプタクルは後工作で開/閉コンバーチブルに。
作中では背部のパネルが開いて謎のプローブが立ち上がり、しかし機能的にはタンカーのドローグ(という名前のじっさいにはフライングブーム)がそこに挿し込まれる、という描写がされていたものの。
もうふつうのリセプタクルでいいじゃん、という解釈&造形。
※ちなみに、原作小説の記述によれば、FAF戦術機はドローグ&プローブ式と思われる。表紙イラストにはしかし何故かリセプタクルのマーキングがあるのだ。ここでも重箱の隅みたいだけど、造形ってのはそういう趣味なのだ(ちがうか……)。
↑リセプタクルとしたのは、このFRXでは設定と違いエンジン2基を(間隔空けずに)並列としているからでもある。胴体内には殆んどスペースが無いので、プローブの展開・収容を行うだけの余剰が無い。
↓フライングブームと接続時は、こんな角度。
↑↓ライフカプセルはパイロットON/OFFの他にキャノピーが開いた状態も作りたいので、さらに改造。開いたキャノピー側の枠はプラ板で新造。これも他のカプセルと同様に、塗装の段を考えてカプセル本体/インテリア/パイロットおよび透明PET樹脂板からヒートプレスしたキャノピーと、それぞれ分解できるようにしてある。
ということで、概ね組み上がって細部を追加工作→いったんサフを吹いた状態。
↑の側面形、「戦闘妖精雪風・デザイナーズノート」をお持ちの方は48頁の初期稿イラスト・側面図を見ていただければ判るかも知れませんが、僕のOVAメイヴのイメージはあの側面図で、そこを基本に造形しているわけです。(側面図では)主翼もだいぶ小さく見え、従って機体の横幅も小さく前後に長い機体という印象。
結果、公式の設定とはだいぶ異なるシルエットになっていますが、繰り返しますが僕の当初からのイメージはこんな機体です。
↑地球大気用主翼、もとい戦術装備用拡張主翼。
より大面積で、すなわちペイロードを増強できる換装主翼(という位置付け)。戦闘偵察機である雪風では通常使用されない(という解釈)。偵察機の主眼は何にも増して高速性能/超音速巡航能力であるため。
せっかくだから同スケールのEXモデル、すなわち公式のデザインと比較。
↑は通常主翼。公式のに比べてかなり前後に長いシルエットですが、本来高速機というのはこういうものだ、というイメージに基づくものでもありますし、単純に好みというのもある。
↓は戦術装備用拡張主翼。この形態で、公式のそれに近い縦横比になるよう造形しました(それでもやや前後に長いバランスだけど)。
↑主翼を後退角にして上反位置とした高速形態、EXモデルと比較。
Operation-4での形態は、ちょっと収まりが良くないかな?とは以前から思っていて(しかも、どうやってミサイルを撃っているのか、そもそもミサイル懸吊したまま主翼は旋回できるのか?などなど)、その辺を解消しつつ高速形態でもバランスが良くなるよう造形した、という趣旨もあります。
単なる趣味・嗜好のちがい。そういう言い方もできるのですけどね……。
レジンキャスト複製して自家用キットとしたのは、もちろんバリエーションを作るためでもあるのですが、とりあえずFRX-99「レイフ」(この「レイフ」が機体名・すなわちペットネームであるのか、それとも原作にあるような個体名なのか、議論の余地がある。通常、正式採用前の機体に名称が付くことは無いからだ。……というのは、ここでは置いて)
↑写真上から、本来のFAF次期主力無人戦闘機としてのFRX-99用ブレインポッド/テスト機用ブレインパーツ。
オリジンのFRX-00/99のデザインはあくまでも作劇上の要請に基づいた「ヒトを乗せた閉鎖環境たるカプセルと、それが取り除かれた無人機感」ではあるのだけれども、
しかし作中において(グノー大佐の言及によって)ライフカプセルは本来意図しなかった夾雑物であることが言及されており、なおかつハンマーヘッドの存在によってFRXという戦闘用航空機のコンセプトは何となく透けて見えつつ、でもしかし、あの3機は所詮急造されたイレギュラーな存在に過ぎない。
で、TX-1あるいは白黒カラーのレイフも、ただの試作機・テスト機に過ぎない。
では本来の、フェアリイの次期主力戦術戦闘機であるところのFRX-99の姿は、明示されていない。
……というのが、この造形の眼目です。
シルエットはメイヴと相似でありつつ、ブレインポッド内部には各種の戦術装備・レーザー砲架を含むそれらが内蔵されている↓。
いずれのポッドも、追加のプラ板工作で作ったワンオフ。テスト機用のブレインパーツは、基本的には公式のデザインに準じています。
というわけで、いまのところ2機同時進行中です。フリップナイト他、バリエーションは幾つかあるので、さらに数機は複製して組む予定。気長に進めていきます。
ところで、冒頭の写真はメイヴ用ESMセンサーブレード付きTARPS。その辺から、次回。
2025-06-20
ペガサス級強襲揚陸艦
ジオン軍強襲揚陸艦ソドン
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」のジオン軍強襲揚陸艦ソドンを作りました。
1/2000スケール、プラ板工作によるフルスクラッチビルドというのはいつもと同様なのですが、今回は久しぶりに複製を前提としないワンオフモデルで、さらに造形に際しても流用パーツは使わず(もともと僕はほぼ使いません)、レジンキャスト複製も併用しない方針で製作。正真正銘のフルスクラッチビルドです。
そもそも何で作ろうと思ったのかと言うと、普段ガンダムはほぼ作りませんがもちろんガンダムが嫌いなわけではなく、さらに今回のジークアクス、控えめに言っても稀有なガンダム作品であると思ったので、リアルタイムでこれを楽しむのであれば(=僕にとってそれは造形ですが)いま作るしかない、と考えたからです。
で、なに作ろうか?モビルスーツは作ったところでありふれているし(どうせバンダイはその辺り無駄に潤沢)、モビルアーマー……だったらブラウ・ブロ、じゃなかったキケロガかしら?などと考えていたところ、EXモデルのホワイトベースをジオンカラーに塗装したソドンをTwitterで見たので、とてもカッコいいなぁ……と。山下いくと先生による初期稿のソドンも一見して機能的で格好良く思ったので、だったら初期稿のソドンを作ろう、というそんな経緯。
先ずは船体の概形を作っているところ。初期稿は見慣れた「木馬」のシルエットよりも前後に長く、特に左右それぞれに長短・並列に配置されるモビルスーツデッキが特徴的。
一般にガンダムの宇宙用艦船は模型作例では前後にストレッチされる傾向にあって(単に格好いいから、だと思う)、これもその流れを汲むものと言えなくはないですが、前方のMSデッキばかりが長過ぎるとバランスが悪くなって、そもそも木馬に見えなくなってしまうので、その辺りを調整しつつ全体形を簡単に組んでいきました(下の写真)。
ところで初期稿のイラスト、一枚絵しか無いのは兎も角として、よく見ると一部でパースが定まっていないし細部が判らない部分もあるので(むしろコンセプト画に近い)、全体のシルエットも絵のとおりに作るのではなく、立体として良いバランスになるように調整してあります。特にいわゆる木馬感?パッと見たときに折り曲げた前後肢を持ったシルエットと言う点では初期稿はやや弱いので、もう少しホワイトベースに見えるようアレンジすることにしました。
短円筒形の人工重力区画と船体中央辺り。
イラストだと、左右のエンジンナセルは横から見た時に艦の中心軸辺りの高さに配置されているようなのですが、前記したように木馬っぽく見えなくなる要素でもあるので、取り付け位置をやや下に。
じっさい、元のホワイトベースもエンジンナセルは明らかに艦の重心に比してその推力軸は低すぎるように思うのですが、木馬に見えなくなっても本末転倒だし難しいところではあります。
あと、主翼は上下ともに微妙なカーブを持った形状なのですが、やはり木馬感がやや乏しくなってしまうと考え、決定稿のような直線的な主翼に変更(ダークイエロー・プラ板によるものが変更前)。
全体のバランスが決まったら、次は細部の工作(主翼がただの板だったり、あるいは船橋が棒+板、エンジンナセルも半分ただの板だったりしますが、バランスとシルエットを検討する段階なので、場所によっては簡単な作りでよいわけです)。
工作が面倒くさそうな箇所から片付けていくのもコツと言えば、そう。
これは左右モビルスーツデッキの付け根にあるメガ粒子砲架・基部。六角形状の表面モールド。1.2㎜厚のプラ板を積層、中心軸として3㎜径プラ棒を取り付け、これをルーターに噛ませて円錐形に→斜面を削り、表面に0.5㎜プラ板でモールド、という工程。
1.2㎜プラ板を何枚積層したか、写真で判ると思うのですが(瞬間接着剤で積層してあるためです)、この積層痕をガイドに同じ形状2個を削り出しました。0.5㎜プラ板で作る六角形モールドも、一辺の長さを同じに切り出して接着。
こういった形状を作る際の、プラ板工作の利点です。工程が視覚化されているので、同じ形が作り易いのです。
エンジンナセルの工作。
書いたように、前方45°くらいまで水平に旋回するのですが、とうぜんモビルスーツデッキ/特にメガ粒子砲架と干渉する位置なので、この辺りは全体形を検討する時に調整してあります。
↓は前方に旋回させた状態。エンジンナセルの外側には、さらにフェアリングのような構造物(支柱のような補強構造を持っているので、あるいは着陸脚として機能する部分かも知れない)が付くのですが、見てのとおり旋回時に干渉する位置でもあるので、ここは初期稿から形状を変更することにしました。
初期稿ソドンは全体に元の木馬よりも前後に長く細く特に前肢が伸びてシュッとした印象なので、それを強調するために左右に出っ張った部分はなるべく省く、という意図もあります。
水平尾翼は旋回時に跳ね上げる可動部を持つので、工作。
可動部は最近のガンプラが素材とするKPS、そのランナーを利用してここでは径3㎜の軸受けとして仕込んであります。他の可動部も同様にKPSランナーを軸受けとして使っています。
初期稿イラストでは船体後部に単純な形状で巨大な円筒形の部分があって、普通に考えれば増設タンク?と思われるのですが、斜め前からの俯瞰絵では周辺の構造は全く判りません。判りませんが、ここの底部は作中でキケロガを懸吊していた部分なので、中央船体の後下部は大型モビルアーマーを懸架し補給整備を行う区画となるので(なおかつ、連邦軍はモビルアーマーを持たないので、元のペガサス級から大幅に改装された筈)、それっぽい構造を考えることにしました。
写真上、大型の増設プロペラントタンクであれば、丸ごと交換も出来ると思われるので、タンクの周辺は素通し/支持構造をそれらしく作り、その下はモビルアーマー懸吊部をデッキ状に造形すれば……などと考えて先ずトラスフレームを組んでいるところ。
左右モビルスーツデッキの付け根にドーム状の構造物を持つメガ粒子砲・収容部。
当初は閉まった状態で固定のつもりだったのですが、砲を展開した形態にもしたいので可動を仕込むことにしました。いったん作ったドーム部分を削って抉り、砲を収めるサイロ部分とします。
砲のカバーは前方に旋回してくるエンジンナセルと干渉するので、メガ粒子砲架全体/砲のカバーなど、位置やサイズを検討してあります。
↑メガ粒子砲架・サイロ部分は中心奥に3㎜径のKPSランナーによる軸受けを設けて、砲はここに挿して展開/収容するように工作。
左右に展開するメガ粒子砲は船体に比して小振りだけど、わりと目立つ部分なのでやはり可動した方が良い↓。
ジークアクス版宇宙用艦船の特徴、パイプ/支柱の構造物で支持される船橋。
そもそもサイズはどれくらいか?
や、絵のとおりに作れば……と言うことも出来るのですが、初期稿イラストではやや小さめです。ホワイトベースの諸元では全長260mくらいとあるので、それに対してブリッジがどの程度の大きさか?と考えてサイズを割り出しました(いやそれ以前に、全体のサイズ/縮尺を考える時にモビルスーツデッキの幅と高さ、これが絶対になるから、その段階で凡その各部バランスは考慮しているのですが)。
船橋の高さも、全体とのバランスで調整。最終的には初期稿イラストと比べてもやや低めに構えたバランスとしてあります。実際に主構造の円筒部分(経3㎜弱になる)を長さの異なる何本か作って検討。
モビルスーツデッキのハッチ。
戦車に付けるドーザーブレードか?みたいなゴッツい構造ですが、強襲揚陸時に突入先の外殻や隔壁その他をブチ抜く部分なので、頑丈・強固に作られているのを表しているのかな?
ここはわりと複雑な形状の同形4個(中央船体のハッチも似た形状ですが、バランスが違う)なのでレジンキャスト複製かな?とも思うのですが、時間がかかるのでプラ板工作で4+1個を成形することにしました。
↑4+1個作りました。見てのとおりここだけウェーブ製のグレープラ板。グレーはタミヤのプラ板よりも柔らかくて切削性が良いので(スジ彫りも簡単に入る)、こういった細部を工作するには適しているので。
反面、剛性が低いということでもあるので、全体の造形には使いません。
ところで、こんな形の艦首を突き立ててスペースコロニーに突っ込んでくるのだから、強襲揚陸艦というのはじつに物騒な艦種です(いや、少なくとももの凄い速さで回転しているコロニー円筒外殻に突っ込むのは無理かな?)。地球連邦という組織の傲慢ないし暴虐とも取れる。同時に、ジオン軍がこの種の艦を作らない/持たないのも道理なわけです。スペースノイドには一発で嫌われる。
閑話休題。
メガ粒子砲サイロのところでも書きましたが、ここでもプラ板を何枚積層してディテールを何mmのプラ板で作ったか、という工程が目で見て判るので、同じ形状を複数作るのはそんなに難しくは無いわけです(面倒くさいが)。
左右モビルスーツデッキの基部にある緩衝器。片側3本として、3㎜径の丸棒から削り出して成形。
デッキ付け根の接続部は緩衝器を合わさってフレキシブルに可動するはずですが、実際に動かすわけではないのでそれらしく造形(見てのとおり、組むとほとんど見えないし)。
この段階の全体形。
途中写真でも何カ所か写っていますが、各ブロックはKPSランナーを接続軸として仕込んで分解可能にしてあります。細部の工作、あるいは塗装を考慮してのことです。
メガ粒子砲と主砲。
左右の砲架に収まるメガ粒子砲は六角柱状の砲身を持ち、いや六角柱ではなくて中心が開いた六角形プレートが連なって砲身を形成するというちょっと面倒くさい形。
このサイズなのである程度省略できるのですが、六角柱であることに変わりは無く。
ここは1.0㎜プラ板を積層して作った角棒を削り出して六角柱とし、これにモールドを入れて砲身を作りました(六角柱のプラ棒が存在することを知らなかったとも言う)。積層痕がガイドになるので4本同じ形状を作るのもさほど難しいものでは無い、というのも同じ。
↑↓砲身がサイロ内部に収まるか、クリアランスを見ているところ。
このあと砲の機関部も作るのですが、1㎝弱のサイズなので形状/ディテールはだいぶ省略しています。
主砲(電磁投射砲かな?)はプラ板工作でそれらしく。KPSランナーを軸受けとして可動部を仕込んであり砲は旋回/俯仰する。
エンジンナセル後部に付くメインエンジン・ノズル片側4基と、同様に4基のサブノズル。
エンジンの機関部(?)とかノズル本体、その周辺はカバーに覆われてあまり見えない部分なので、さほど作り込んではいません。メインノズルも4㎜径のプラパイプに簡単な加工を施したもので、単純な形状(なんかノズル内部とか外装にものすごくディテールの入った、言い方を変えると何処かウソっぽいノズルは好きじゃない、ってのもある)。
中央船体後下部のモビルアーマー・デッキを積層状に組んでいるのも判ると思います。
スラストリバーサも工作(ダークイエロー・プラ板の部分)。
逆推力装置の基部が後ろにスライドしてリフレクターがメインノズルを覆う、みたいな構造を考えたので、基部となるサブノズル・カバーにスライドレールっぽいモールドを施してあります。
上下の主翼、基部の支柱/支持構造。
だいぶ頑丈そうな形状に描かれていますが、荷重がかかる部分なのかな?そもそもミノフスキー・フライトなので、まさかデカい主翼で揚力を発生させるわけでもなし。ひょっとしてミノフスキークラフト機構の一部が翼状のパーツとして在るのかしら?考えてみると、クスイーにもウィングレット状のスタビライザー付いてたな……などと考えていましたが、作中ソドンは艦底の開口部が光ってミノフスキークラフトが作動している感じで。
何事も考え過ぎは及ばざるが如し……。
基本的な工作が終わった段階の全体形。
あとは各部のディテール、スジ彫りとか細部のモールドを追加。
モビルスーツデッキ側面にはバルジが付いてミサイルランチャーであるようなのですが、ここでは外付け/旋回式のランチャーを取り付けました。艦の前方、2本の脚がスッと伸びたシルエットを崩したくないので、余計なバルジを付けたくなかった(しかも外側/内側に片側4箇所もあるので、脚が太く見えてしまう)。
↑ディテール/スジ彫りの工作も終わった状態。
普段はここまで来ると細部の隙間とか曲面の成形でタミヤパテを併用したりして表面プラ板色以外も混じってくるのですが、今回はほぼ箱みたいなパーツの集合体なので、基本プラ板の白/ダークイエロー/グレーだけ(ちょっと塗装するのが勿体ないくらい)。
このあと、サフを吹いて表面処理→再度サフ吹き、塗装。で、完成です。
以下、完成した強襲揚陸艦ソドン。
1/2000スケールで、全長150㎜余り(※諸元では全長260mくらいなのですが、このペガサス級はあちこちストレッチしてあるので、全長は300mを超えているとした)。
左右のメガ粒子砲架/カバー部分のジオン国章は適当なデカールが無かったので、カービングにしてあります(打刻がちょっといいかげんっぽくて、うろ覚えで彫ったジオン国章みたいだけど。たぶんあとでデカールに変えると思います)。
どれくらいの大きさなのかと言うと、↓これくらい。
以下、いつもの"空撮"写真など。
諸元によれば、ペガサス級の全長は260m超。書いたように今回の造形だと全体的にストレッチしてあるので全長は300mを超えるのですが、そんな大きさの飛行物体が遊弋している絵面を想像すると、ちょっと不思議です。
2025-06-16
FRX00/99の冊子
「戦闘妖精・雪風」のFRX00/99、造形に関する小冊子です。3月のさっぽろモデラーズフェスタにて配布したもので、リンク先にPDFファイルあります。およそ6.8MB、A5サイズで20頁(本文16頁)。
内容的にはここの過去ログ2024-08-05と同様です。
URL: http://sparrow.o.oo7.jp/upload/FRX00_99.pdf
2025-03-22
「さっぽろモデラーズフェスタ」
3/20(木・春分の日)に行われた「さっぽろモデラーズフェスタ」に参加してきました。
昨年は「戦闘妖精・雪風」の戦術戦闘電子偵察機 FRX99/00、製作途中でサフ吹きまで済んだ状態。
今年はFRX99/00は完成して展示、+「戦闘妖精雪風」の戦術戦闘電子偵察機 FRX-99/00。製作途中でサフ吹きまで済んだ状態。
進歩が無い。そのように言うことも出来るかも知れないけども。
※中黒「・」あるいはハイフン「‐」の有無に注意してください。そう、ぼくは細部まで拘るタチです。5>
週中の祝日ということでどうかな?と実のところ思っていたのですが盛況で、ありがたい事にわりと多くの人に見てもらえたように思います。来場いただいた方/ご覧いただいた方々たいへん有難うございました。
↑は主催のお二人の展示。左がtakumiさん、右はアルスさん。
展示会としてはいわゆる招待制のそれで、ざっくりと言えば「僕らが見たいなぁと思った物を直に見たいので展示会を設けた」みたいなスタンスだそうで、とは言え開催に当たっての各種労務とか調整・連絡などなどを考えると……、
いや、たいへんに有難いことです。
↑はうち「イグルーシカ」の卓。今回はMaさんが多忙のため参加ができず、4人での出展。
え?写真これだけ……?
ですが、どうも僕は外で写真撮ってくるのがどうにも苦手。
で、いつも展示会の際は単に作品カード(名前だけ、あるいは作った誰某だけ)ではなく模型の解説、というよりは、展示してある架空の機体が何であるか/どんな作品に出てくる何という名前の機体なのか/もしくはオリジナルであれば如何なる意図でデザインしたものか、等々を記載した解説を用意するのですが(ふつうは2Lサイズにびっしり書く)、
今回はそれに加えて、上記「戦闘妖精・雪風」に登場する戦術戦闘電子偵察機 FRX00/FFR41MR メイヴ雪風を自分なりに造るにあたっての造形やデザインの意図とか要点などまとめた小冊子(無料で配布用)を作ってみました。A6サイズ、本文16ページ(ちなみに、内容的には既出の内容を再構成したものです)。
そもそも展示の仕様上、興味持ってくれるのは「戦闘妖精・雪風」既読の方が多く、そのためか比較的自然に用意してある冊子を手に取って読んでくださいました。いつもの作品カードよりは取っ付きやすいのかも?と思ったので、次回も同様のを用意しようかと思います。
OVA「戦闘妖精雪風」版のFRX-00については引き続き工作、じぶんなりに解釈したメイヴの姿を見ていただければと思います。原作「戦闘妖精・雪風」版のFRX00(リビルド)については、模型の写真/空撮をまとめたページを後日当サイトに追加し、また今回作った冊子の内容についても読んでいただけるよう何か考えることとします。
他に原型の仕上げ待ち/もしくはレジンキャスト複製待ちのあれこれが山積なんですが、いまのところ次も何か「戦闘妖精・雪風」ネタを作るつもり。
オリジナル架空機あるいはBoothでの通販とか、そっちのフォローがぜんぜんなっていないのですが、
ぼちぼち進めては居りますので気長に待っていただけると……。
2025-03-16
「さっぽろモデラーズフェスタ」に参加します。
3月20日(木)春分の日に行われる模型の合同展示会「さっぽろモデラーズフェスタ」に参加する予定です。
「イグルーシカ」はいつもの5人、もとい1名は都合が付かないため4人での参加になると思います。
※写真は去年の僕の展示内容。
会場である札幌市民交流プラザSCARTSモールは通りに面したエントランスの空間になりますが、採光も良くて広く明るく、模型もたいへん見易いです。
詳細は下記のとおり。
■ イベント名:さっぽろモデラーズフェスタ
■ 開催場所 :北海道札幌市中央区北1条西1丁目/札幌市民交流プラザSCARTSモールA・B
■ 開催日時 :2025年3月20日 木曜/春分の日、午前11時~午後5時
■ 入場料金 :無料
■ 展示内容 :札幌市・近郊のモデラーを中心とした合同作品展です。
スケールモデル/キャラクターモデルその他多肢にわたります。
僕の展示内容は、「戦闘妖精・雪風」のFRX00/FFR41MR メイブ・雪風、ほか。
FRXについては、機体のデザインと造形(小説記述を元にして自分なりにデザインした造形です)についてまとめた小冊子を少数用意してあります(無料です)。
2024-12-30
最近作った画像
フェアリイ空軍戦術空軍団/戦術戦闘航空軍団隷下の特殊戦第五飛行戦隊に配備されている戦術戦闘電子偵察機FRX00/FFR41MR メイヴ。特殊戦の1番機で、部隊ナンバーはSAF-V 05031、機体シリアルナンバー96065。
キャノピ・サイドシルに小さく漢字で、「雪風」
1/100スケール、フルスクラッチビルドによる。外撮りして空撮風写真に加工。
……というわけで、最近作った画像です。FRX00/99リビルド(よく考えてみなくても、今年完成したスクラッチビルドはこの2機だけです)。
※ワンフェス用に「戦術電子戦闘機 EFR-1」だったかな? それも作った気がするけど、あれ存在しないことになった機体なので除外。
以下、FRX00の原型となった無人戦術戦闘偵察機FRX99。特殊戦13番機として配備された「レイフ」
わりと無理やり有人機に改造されたFRX00とは異なり、こちらがエアフレーム本来の姿なので(ついでに機体の全性能を発揮することができる)、シルエットとしてもこっちの方が均整の取れたそれとして、逆にメイヴは少々機首が大きいバランスとして対比させてあります。
原作版のFFR41MR メイヴ・雪風。いまでも時々引っぱり出されては"空撮"に駆り出される。
ということで、今年はあまり完成しませんでしたが来年はもう少し作れるかな? 作れるといいのだが。
いまのところ、3/20に行われる「さっぽろモデラーズフェスタ」に向けて何か作ることになると思います。
粘土埋めの直前で止まってる原型もあれこれ積んでいるわけであるし。
ともかく、来年もよろしくお願いいたします。
2024-12-27
FRX-00/FFR-41MR メイヴ・雪風(その1)
OVA版「戦闘妖精雪風」の戦術戦闘電子偵察機FRX-00です。
「これが雪風か?」というのとは別として(原作とOVAは別物、という捉え方ならもちろん異論は無い)架空戦闘機としては好きなデザインなので、特にバンダイ製1/100スケールEXモデルは出来もたいへん良くて幾つか組んではいるのですが、
肝心のFRX-00/FFR-41MRすなわちメイヴ・雪風に関してはあれこれ気になるところを改修しつつ、いつまでも完成しない……ということが年余に亘って続いており、
これはイカン。そもそも何で完成しないのか、そこのところを改めて考えてみると。
納得のいくバランス/シルエットに改造しようとして、あちこち切った貼ったした挙句、完成しなかったという図。
画稿によって多少の差はあるのですが、どうも高速機にしては前後に短く翼幅があり過ぎるように見えていたので、そこのところを改造して……という方向性でキットを組んでいたのですが、やはりいまひとつ納得いかない。あと、初期稿の側面図は如何にも航空機然とした絵面だったのに、決定稿では妙に上下に抑揚のある、すなわち「あんまり飛びそうにない(デコボコしてると空気抵抗がすごい)」側面形ってのも気になったところでもあったので、
ここは初心に戻って全部作りなおすことにしたわけです。
基本形はOVAの製作発表時に同時にリリースされたFRX-99のデザインを見て作ろうと思い途中まで工作した1/120スケールモデル↓。
自分の中でのイメージはこの時に出来上がっていたので。
ここではわりと大きめに主翼を作っていますが、リフティングボディ機で主翼は小さい、というメイヴのコンセプトを鑑みて今回はこれよりも小さく造形することにしました。
初手は機首です。ライフカプセル(コクピット)は当初EXモデルのそれを改造した物を流用するつもりだったので、これに合わせてカプセルが前後に可動するように造形(キットでは機首パーツ形状のせいでこの可動が出来ません)。もっともそのライフカプセルも形状が気にくわなかったので後でぜんぶ作り直したのですが。
そもそもFRXの機首は何でこんな形状なのか昔から不思議だったのですが(※無人機とそれを改修した有人機、というのが一目で判る云々、と言った作劇上デザインの都合のことを論じているのではありません、念のため)、これについては後述します。
そうそう、工作はいつもと同様ぜんぶプラ板工作です。バリエーションを作るので、レジンキャスト複製前提。
胴体もいつもと同様エンジン→エンジンベイと吸気系を作って次いで外側、という工作。
搭載エンジンであるFNX-5011・フェニックスMk.11は公式のそれよりもふた回りほど小さいエンジンということにしてあります。機体を薄くするためでもありますし、そもそも原作における記述からして、フェニックスはOVAでのスペックよりも小さいエンジンのはずです(この辺はリビルドの際に書いたとおり)。
エンジンは最も重い構成要素なので、機体の前後どの辺りに置くのかが重要。
重心位置/空力中心(=主翼の位置)あるいは主脚取り付け位置(重心位置のすぐ後ろ)などを検討しつつ機体全体のバランス/シルエットも調整するので、じっさいこの辺の造形進めながらの試行錯誤をくり返すことはわりと重要です。
↑↓エンジンベイの前端にはターボファンの入口部が入るリング、その前方はエアダクト。
この飛行機はエアインテークが上下2対に別れているので、ちょっと複雑。レジンキャスト複製するので同時に分割も考えないとならない。
インテーク(上)はライフカプセルが収まる機首トンネルを囲むように位置し、インテーク(下)はよくある形状の胴体下空気取り入れ口。OVA版ではわりと小さいエアインテークが気になるところだけど、今回はエンジンも小径化しているのでインテーク入口も比較的小さめ。
この辺りで機体の概形が出来上がったのでEXモデルと比較(キットも改造後のバランスですが。素組みではもっと横幅があります)。
シルエットがまったく違っているのが判ると思うのですが、繰り返しますが高速機というものは前後に長く、翼幅は小さくなる傾向があるものです(たしょうの主観は含む。たんに好み、とも言う)。
けっきょく後で新造するのですが、これはEXモデルのライフカプセル。
先述のとおり、あんまりデコボコしていては空気抵抗が大きそうなので上下に薄く。
OVA版初期稿のイラストでも、カプセルは機首上面からそれほど出っ張っておらずほぼ埋没しているように見えます(そのまんまが良かったのに……)。
↓上に出っ張り過ぎです。たしかに視界は良さそうですけど、FRX-00はそんなにパイロットに優しくないです。
主翼は1.2㎜+1.5㎜プラ板積層から削り出し。
回転軸角度を前進させて、裏返して後退翼になった際の後退角を減じて空力中心の移動を少なく(これでも、どうやってバランス取ってるんだろ?という気はするけど)。
↑地球大気用の拡張主翼。これはまだ削り出す前のただの板。
スタビレータと主翼の可動(迎角)・可動軸をどこに設けるのか。
これも適性位置を探る調整をしつつ(飛行機として飛びそうに見えないとならない)、そもそもシルエットとして格好良くないとならないので充分な検討が重要。
尾翼の回転軸は可動した時のバランスを考えて前方寄り。
これだと操舵に必要なトルクが大き過ぎるかな?と思ったけど、格好優先で。
主翼を裏返して飛ぶ、というトンデモ機体なのですが、対称翼なのかな?
……さすがにそれは無いだろ(重量物たる兵装をぶら下げないとならないから。アクロバット機なんかとは違う)ってことで通常の翼形。
後退翼にした時にミサイルが後ろを向いてしまう問題をどうするか?
ハードポイントを回転式にすればいい↓。
エンジンはリビルドの際に作ったものとほぼ同形。
工作中のFRX-99用のブレインポッド↓。
ライフカプセルは新造。上下に薄く、全体的に細くする。
プラ板積層から原型を削り出して研磨→ヒートプレス→調整のため削って研磨→ヒートプレス……という工程で透明PET樹脂製のキャノピー形状を調整します。内部のコクピット・インテリアもプラ板工作。
↑後退位置のライフカプセル。
原作中の記述にある全方位パルスドップラーレーダー、それは何かと言うと後方象限まで強力な電磁波を照射する危険極まりない物であり、そのマージンを取るためにレーダー高出力作動中にはコクピットが後退する、という仕組み。
こう考えると、FRXの機首は前端のバルジ以外は殆どブームだけ/がらんどうの構造になっているのも納得できる(気がする)。
通常主翼↑と、戦術装備用拡張主翼↓。
ハードポイントの数が異なり、拡張主翼の方が当然ペイロードは大きい。
……ということにした。
ということで、5月~10月頃までの工作まとめでした。
このあとシリコンゴム型製作→レジンキャスト複製です。続きます。